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| 行動化【acting out】 |
| 定義 |
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本来の精神分析は言語表現を基本とする治療であり、患者さんが自分の無意識の葛藤や、抑制してしまった記憶などを、言葉で表現することで、自分で意識できるものにしていくことが治療課題となる。しかし、この言葉で表現することを避け、行動で表現してしまうことを「行動化」と言う。 |
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この「行動化」という現象は「抵抗」の特殊な形です。「抵抗」ですから、やはり無意識に治療の進展を妨げます。しかし、ある行動を「行動化」かどうか判断するのは、難しい場合があります。つまり、同じ人の同じ行動でもそれが「行動化」の場合と、合目的な行動の場合もあるということです。
具体的には、入院中の患者さんの場合には治療の目標は病気を軽減させることですから、その目標に沿った行動かどうかで判断します。病棟や外来でよくある「行動化」は、たとえば、拒薬、食事制限を守らない、安静を守れない、時には無断外出、自己退院、さらには生命にかかわるような点滴の自己抜去、などさまざまです。次に事例で説明しましょう。

Bさんは20代の女性で潰瘍性大腸炎の急性増悪で内科に入院になりました。入院後徐々に食事制限が守れなくなり、スナック菓子を買っていたり、安静が必要にもかかわらず、無断外出したりすることが目立ち始めました。それを、ナースが注意すると、Bさんは「またばれちゃったなー。ごめんね」と答え、どこか憎めないところがありました。しかし、そんな行動のためか夜間に腹痛を訴え、ナースコールが頻繁となり、ナースがベッドサイドで長時間の話を聞くことが多くなってきました。そうするとBさんはしばらくの間は問題行動を起こさずにいました。
あるナースに、Bさんは病院勤務のナースをしている母親の話を始めました。「父親はやさしいけど、母親は自分にだけ厳しい」と話し、さらに、「母親は私にすごく期待していた。ナースにしたかったみたい。私もそうしようと思ったんだけど、なんかなー」と話し、「ああしたほうがいい、こうしたほうがいいと命令される。でも、母親のロボットじゃないという気がしてきちゃう。この病気になってからは薬の飲み方、食事の献立、食べる時間とかいちいち口出しをするようになった」と母親に対する不満が次々に話されていきました。 |
以上がBさんの事例です。Bさんは、母親との葛藤を強く感じていて、そこから、Bさんの行動を管理しようとしたナースとの間に「転移」が形成され、同じ葛藤がもち込まれたと考えられます。
それでは、このBさんの場合、「行動化」はどこに起きているかわかりますか。治療の進展を妨げる行動ですから、食事制限を守らない、安静を守らないという行動が「行動化」になります。それでは、夜間に頻繁のナースコールをしたことはどうでしょうか。Bさんはただ腹痛を訴えるためだけではなく、自分の話を聞いてほしかったようです。だから、治療の進展を阻む行動とは言えないように感じます。
しかし、話をするのは昼間でもいいわけだし、夜勤のナースがいかに忙しいかも母親から当然聞かされていたはずです。このようなことを総合して考えると、やはり「行動化」と考えられます。
このように、事例1も事例2もナースが患者さんの話を聞くことで、事態が変化しています。ベッドサイドでの会話が簡易精神療法として十分に役立つことを認識してほしいと思います。さて、そこで次に、「共感」について説明します。 |
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