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| 治療同盟・作業同盟【therapeutic alliance, working alliance】 |
| 定義 |
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精神分析の概念で、治療同盟も作業同盟もほぼ同じ意味で用いられている。治療過程における、治療者と患者の間の、治療契約に基づいた現実的で合理的な協力関係や共同作業を表す言葉である。現在では、精神分析以外の治療関係にも用いられる。 |
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このような治療同盟が成立するためには、まず医療スタッフの側にも患者さんの側にも適切な思考能力、合理的な理性に基づく判断力などが備わっている必要があります。
どこがどのように具合が悪いのか、それを解決するためにはどのようにしたらよいのか、どんな治療を受けたらよいのか、その際どんな苦痛に耐えなければならないのか、結果はどうなるだろうか。こうしたことについてある程度の知識をもち判断ができるような能力が前提となります。
通常、患者さんがこのような健康な能力をもっている場合は、治療の最初からかなりしっかりした治療同盟が成立します。しかし、このような能力に欠けている患者さんの場合には、その病気にみあった診断や治療をするだけでなく、
治療同盟をつくるということ自体が、本質的な治療作業になります。
その場合、医師が専門性に流れる傾向にある現在の医療において、ナースのもっている、患者さんを部分ではなく全体的な人間として理解し癒すという役割の意義ははかりしれないのです。このことは、外来治療場面では目立たないかもしれません。しかし、入院治療では四六時中患者さんと接し、心も身体も、
さらに日常生活全般にわたってケアするのはナースですから、ある意味では医師と患者さんの治療同盟以上に強い絆ができやすいのです。
このような治療同盟について、人間の情緒発達という視点から精神分析では、幼児期の基本的な信頼感、信用、協力などが繰り返されることによる、つまり後で述べる幼児期に由来する転移でもあると考えています。
さて治療同盟は、それ自体好ましいものですが、完璧によい治療同盟がありうるかという疑問をもつ必要があります。完璧によい関係を目指すと、治療関係はずいぶん窮屈な不自然なものになってしまいます。また、みかけ上だけの、いわば“偽の良い治療同盟”という関係も少なくありません。
本当の意味での自己主張ができず、服従的な性格の患者さんの場合、しばしば偽のよい関係をつくりがちです。面従腹背という関係になるわけです。たとえば、診察場面では医師の言うことをよく聞くが、決して指示を守らないとか、陰で不満や文句を言うといったことが起きます。こういう場合、しばしばナースに本音をもらすということがありますから、
ナースはよく観察しておくことが大切です。
つまり、本当に好ましい治療同盟とは、完璧によくもなく、完璧に悪くもない、そこそこほぼよいといったものなのです。治療同盟は治療の経過の中で、医療スタッフか患者さんか、あるいはその両方の誤解や思い込みで危機に陥ることもまれではありません。このような事態については次項で述べますが、ここでは、治療同盟は治療スタッフと患者さんとの相互の努力によってつくり上げていくものだということを強調しておきたいと思います。
| 転移【transference】 |
| 定義 |
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精神分析の概念で、患者が子ども時代に体験した、重要な人物、特に両親や同胞に対する感情や態度が、現在の人間関係の中に置き換えられ反復・再現される現象のこと。 |
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医療スタッフと患者さんの関係には、合理的な契約にもとづいた治療同盟のほかに、不合理で非現実的な側面があります。患者さんはスタッフに対し、かつて母親に抱いたように何でもかなえてくれる万能者であることを期待したり、素晴らしい理想的な存在であると思い込んだりすることがあります。あるいは、何でも見通す恐ろしい存在であるとか、自分を傷つける存在だと思ったりもします。
このような意味で、転移は精神分析だけでなく、医療一般、会社、学校など社会のあらゆる人間関係においてもみられる現象です。とりわけナースに対して、その役割から、患者さんは母親についてかつて体験したような感情や態度を向けることが多いものです。
転移には、好意・あこがれ・称賛・恋愛といった陽性転移と、嫌悪・恐怖・不信・怒り・憎悪といった陰性転移とがあります。この二つはある局面でどちらかが優勢で表面化するということがありますが、実際には互いに織り成し、共存しているため、治療関係は複雑な状況を呈することになります。
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