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21歳の女性であるBさん(IP)は、過食症の患者さんでした。 Bさんは2歳下の妹との2人姉妹で、父親は、早くに自分の両親を亡くした経験をもち、仕事がら海外出張が多く家庭には不在がちでした。母親は父親の不在の間家族のすべてを切り盛りしており、 通常は社会にうまく適応していましたが、自分が責められるような状況では、容易に混乱してしまう傾向がありました。 妹は、幼少時より身体的な疾患をもち、母親と接する機会も多く、母親にとってはとてもよい子として育ちました。 一方、IPは扱いづらい子として、母親に認知されていました。家に娘2人と母親の3人でいるときには、妹と母親は「ツーといえばカーと答えるというほどよくわかる」ため、仲よく話していましたが、 IPは一人自分の部屋にこもっていることが多かったそうです。 この家族の境界について検討してみましょう。まず、父親は不在がちで母親と子ども2人からの境界は硬い境界です。 残りの3人をみてみると、IPが一人遊離気味で、母親と妹の境界はあいまいになっています。 健康な家族では、世代間には明瞭な境界があるといわれています。この家族では、母親と妹との境界があいまいなことから、世代間境界が不明瞭になっているといえます。 過食症によってIPが入院した後、妹がIPを見舞ううちに姉妹の結びつきが強まり、しだいに妹は母親に不満をぶつけるようになりました。そして、ついに妹は母親に反抗するようになり、 家に帰りたがらなくなっていきました。 これは、IPの入院によって家族の中の境界に変化が生じ、世代間境界が鮮明になりつつあるためと理解できるでしょう。
ここでは、家族をとらえるときは、日々使い慣れた直線的な因果関係の考え方ではなく、循環的な考え方が必要なことをまず指摘しました。 続いてシステム論的な考え方とは何か、家族システムの中で患者さんをどのようにとらえたらいいのか、境界という一つの見方が、システムの動きをとらえるうえで参考になることなどを説明しました。 次節では、もう少し具体的に実際の家族の中で起きることや、治療介入に関する用語について説明します。