|
|
 |
|
|
| (vol.02 つづき) |
| |
治療関係の終わりに関してもう一つ重要なことは、別れに際して治療スタッフもまた苦痛や葛藤を経験するということです。これまで述べてきたことは治療スタッフにも起こり得ることなのです。
しばしば治療スタッフが終わりをめぐる心理を認めようとしないことがあります。たとえば、いつ治療を終えるか明確にせず、何となく治療を終えようとしたり、「急に終わると、もし症状が悪化するといけないから、もう少し続けましょうか」「あなたはまだここがよくなっていないから通院しなさい」などといって治療を引き延ばしたり、その反対に 「この子は早く学校に行ったほうがいいから」「はやく復職したほうがいいから」などという、一見もっともな理由で、患者さん側にその準備がないのに治療を終えてしまうことがあります。
こうした、治療を遷延させることも早すぎる終わり方も、背景にあるのは治療者が「終わり」の精神力動を認めることを回避するところから起きてきます。
職業上、患者さんの「死」に直面することが多いため、「慣れ」てしまうという事態の背景にもこの回避の心理が働いています。あるいは、治療関係は終えても、治療場面以外で私的な関係を続けるということもあります。
これらはすべての場合に悪いとはいえませんが、少なくとも精神科領域では好ましくないことです。このような好ましくない反応を避けるためにも、私たち医療人は、この別れのつらさに耐え、進んで別れの問題に取り組まなければなりません。つまり、私たちは患者さんとの間でこの問題をとり上げるだけでなく、自己の問題として自分の分離不安や対象喪失にまつわる気持ち、 あるいはその解決の仕方を理解し洞察を深めるべきです。 |
|