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Q1:学会・研究会に参加するきっかけはどのようにつかめばいいですか?
●学会・研究会は日々の看護に役立つもの
臨床で働くナースのみなさんは、現場で困っている問題について、自分なりの工夫を日々それぞれに重ねて解決していることでしょう。けれどもそれは、限られた経験のなかから、やっと生み出された自分だけの経験則のようなものです。では、「ほかの人はどうしているのだろう」「もっと違うやり方があるのではないか」「ほかの人の意見を聞いてみたい」と、みなさんは考えることがありませんか。
臨床ナースが学会に参加するというと、何か特別なことのように感じられるかもしれません。けれども、学会や研究会は、患者さんにとってよりよい看護を実現するために、多くの研究者や臨床家が知恵を出し合い、お互いを研鑽していく場なのです。
みなさんもぜひ、“日々の看護に役立てる”という視点で、肩に力を入れずに、さまざまな学会や研究会の情報にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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Q2:学会・研究会に参加してできるのはどんなことですか?
●第三者の意見を聞くことで、思考が論理的に
学会・研究会では、ある特定のテーマにしたがって、研究の促進や連絡・協議などが行われています。そこでの研究活動には、新しい理論やシステムをつくり上げるという高度な内容のものから、臨床現場での取り組みに関する事例報告といった、理論化途上段階のものまで、さまざまなレベルがあります。しかし、どの研究活動にも、最終的には“よりよい看護を実現したい”という目標があります。
けれども残念ながら、まだまだ臨床のナースには、現象について論理的・科学的に思考する訓練が不足しているように思えます。だからこそ、まず第一歩として、学会・研究会という場に参加して、第三者の意見に耳を傾けるという経験を積み重ねることは、みなさんの今後の成長にとって貴重な意味をもつものなのです。そしてそれがまた、みなさんが日々ベッドサイドケアのなかで取り組んできたさまざまな事柄の振り返りや整理と、思考力の向上にも、きっとつながるはずです。
経験だけに頼るのではなく、より客観的で科学的な看護を行うには、臨床で行っている看護の一般化、理論化が欠かせません。しかし、それを臨床のなかだけで実行するのはなかなか困難です。一歩現場から離れてより大きな視点から見てみることが、新しい発見につながります。そこにこそ、学会・研究会参加の意義があるのです。

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Q3:学会と研究会、院内研修とはどう違うのですか?
●研究会は学び合う場であり、学会ではより深い議論が
一つのテーマを決めて、複数の人が集まって学習する場が「研究会」と言えます。臨床のナースが集まって、現場での取り組みを報告しあい、意見を交換するには、研究会という形から始めるのが大半です。しかし、その取り組みを、より広く全国規模で事例を集めたり、学術的に議論し深めるといった活動を行うようになると、それは「学会」と呼ばれるものになります。
学会や研究会はその趣旨や規模によって、活動内容がさまざまですが、代表的なものとして、1)研究発表会・学術研究会、2)セミナー・研修会の開催、3)施設見学会・国内外視察ツアー、4)会誌・ニュースリリース発行、5)資格等認定、6)共同学会の活動、7)調査・研究、8)書籍の共同執筆、9)普及啓蒙活動、10)ボランティア活動があります。自分のニーズに合った会、プログラムを選択し、参加したいものです。
看護系の学会と呼ばれるものは数多く存在しますが、看護分野で学術的な取り組みを専門に行っているものは、まだわずかしかありません。それだけ看護系の学会は、臨床ナースが参加しやすいとも言えるのです。
一方、院内での看護研究や研修は、“教育”という側面が強く、本人が自分の動機に従って研究を行うというより、課題として取り組むケースが多いでしょう。しかし、こうした研究は、本来“どうすればもっと患者さんのためになるか”“このことを、どうしても知りたい”といった、強い目的意識をもって取り組むかどうかで、後に大きな差が生まれるのです。

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Q4:経験が浅いのに参加しても大丈夫ですか?
●ほかの参加者から刺激を受けるだけでも有意義
まず参加しやすいのは、現在自分が勤務している診療科の領域の学会・研究会でしょう。「私はまだこの分野の専門知識がなくて、自信もないから、学会なんて……」としり込みする必要は、全くありません。むしろ、自信がないからこそ、学会・研究会で熱心に学びあい、議論しあうナースたちの姿を目にして、刺激を受けて帰ってきてください。
では、いざ学会や研究会に参加したいと思ったときに、その情報はどこで得るかというと、さまざまな専門誌に目を通すことが第一でしょう。看護分野だけでなく、保健・医療・福祉さまざまな分野から、自分の興味に合ったものを選んでみるのも一つの方法です。
また、看護部あてには各種学会・研究会、セミナーなどの案内が届くものです。教育婦長などに、自分が興味をもっていることを伝え、該当する会がないか相談してみてもよいでしょう。

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Q5:参加を決心したとき、だれに相談すべきでしょう?
●まずは婦長に、自分の参加動機を説明して
学会に入会するには、その会の入会資格要件を、まず調べます。これについては直接事務局などに問い合わせるとよいでしょう。会によっては、推薦者が必要な場合もあります。
院外のこうした場で、集会に参加したり、研究発表するには、勤務スケジュールとの兼ね合いが出るため、当然、直属の婦長に相談する必要があります。スタッフを育てようという意識をもっている婦長は、そうした活動に理解を示してくれる場合が多いと思います。
ただし、「どうしてその学会・研究会に参加したいのか」積極的な意思が伝えられないと、なかなか理解が得られないかもしれません。まずは、自分の動機をしっかりともち、自分がそれに参加することが患者さんにもどんなメリットがあるのかを、説得するくらいの気持ちで、先輩などにも協力してもらいましょう。

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Q6:資格を認定する学会・研究会もあるそうですが
●資格認定の動きが各学会で活発化しています
従来、ナースには、主任→婦長といった、管理上のポストに就く以外、ステップアップのための明確な目標がありませんでした。しかし近年では、専門看護師・認定看護師制度をはじめ、呼吸療法認定士など、それぞれの学会などが一定の要件を設けて研修を行い、プログラムを修了したナースに、専門分野の資格を認定しています。また、今年2月には、糖尿病療養指導士の資格認定に向けて、日本糖尿病学会、日本病体栄養学会と、私が副理事長をしている日本糖尿病教育・看護学会とが合同で糖尿病療養指導士認定機構を発足しました。今後、認定機構が主催する研修会の修了者に受験資格を与え、本年度中には認定試験を実施する予定です。
こうした資格認定のための研修は、必ずしも会員でなくても受講できます。自分が5年後、10年後「こんな看護がしたい」というビジョンをもち、ぜひチャレンジしてみてください。

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Q7:著名な先生と知り合う機会もあるでしょうか?
●「これは」と思う人にはすぐ自己紹介を
私は「この人とどうしてもお知り合いになりたい、お話がしたい」というとき、その人が講演された後すぐにごあいさつするようにしています。もちろん、先方の都合もありますから、その場では名刺をお渡しするくらいしかできませんが、後でご連絡を差し上げるときにも、印象に残っている場合が多いのです。ナースは、名刺を持っていない人も多いようですが、手短に自己紹介するためには欠かせないものです。ぜひ用意しましょう。
発表会などの後で開かれる懇親会は、多くの人と知り合う絶好のチャンスです。先に自己紹介した先生とあらためてお話ししたり、質問をぶつける時間がもてますし、初対面の人でも話しかけることができます。熱意をもって接すれば、いろいろな関係者を紹介していただけるかもしれません。もし、気後れしてしまうようならば、学会事務局担当者に、紹介を依頼してみましょう。
懇親会はもちろん、高名な先生だけでなく、同じような立場のナースと知り合う機会でもあります。だから、たとえ同じ病院の仲間で参加したのだとしても、同じグループで固まって行動したりしないようにしましょう。せっかく人脈を広げる機会ですから。私は「ナースはどんな出会いをもつことができるか」で、その将来の可能性が大きく左右されると、考えています。

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Q8:学会・研究会に参加する心構えはありますか?
●臨床ナースだからこそ、積極的にトライして
私は、臨床ナースこそ、こうした学会活動に積極的に参加すべきだと考えています。
もう10年も前の話になりますが、脳神経外科病棟に勤務するようになったとき私は、ちょうど山口県で脳神経外科看護研究会が開かれると知りました。私はそのとき、異動になって1ヵ月、初めての分野で何も知らなかったのですが、だからこそ参加したいと考えました。
研究会では、約300人のナースが、看護について熱っぽく議論していて、「こんなに私と同じ思いの人がいるんだ」「こういうものの見方もあるんだ」と、感動したのを覚えています。また、そこで紙屋克子さん(現筑波大学教授)をはじめ多くのすばらしい人たちと知り合い、その後もおつきあいが続いています。私にとってその会に参加することは、自分を成長させる絶好の機会となったのです。
ですから読者のみなさんも「私にできるかしら?」ではなく、「できるようになるために」という気持ちをもって、何事にもトライしてみてほしいと思います。5年後、10年後の自分のあり方を考え、今から視野を広げてください。

●プロフィール
佐藤昭江<さとう・あきえ>平塚共済病院看護部長/長年、臨床の第一線で活躍しながら、同時に「神奈川糖尿病看護研究会」を創設。研究会活動を続け、さらに活動を全国規模に広げるために、1996年10月に発足した「日本糖尿病教育・看護学会」の設立に参画、現在学会副理事長を務めている。また、今年(2000年)2月より「糖尿病療養指導士認定機構」の理事も務めている。

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